団子奇譚 12
「左近、行長がどうかしたのか?」
可愛らしく小首を傾げて殿が聞いてくるが、答えたのは俺ではなく小西殿だった。
「いやァ、何でもないワ。衣装の着方でわからんことがあるらしいんで、隣の部屋借りるわァ」
「そうそう、佐吉とおねね様はそこで待っていて下さい」
そう云って小西殿は、大谷殿と共同作業で俺を無理矢理隣の部屋へと引きずり込む。俺は抵抗など出来ようはずもない。というか、その気力もない。
あぁ、異界が近づいてくる(遠い目)
「んで、俺にどうしろと? というか、真っ赤な嘘でうちの殿やおねね様、騙くらかしていったい何のつもりです?」
引き込まれた異界の先。そこで俺は眼前のふたりを憮然と睨みつける。
「騙してないヨ。島殿がぜんぶ解決するあるヨ」
「アンタ、いったいどこのエセ中国人ですが、大谷殿」
「いいから、はよう、この衣装着てや」
「って、何の役にも立たない南蛮衣装を着て俺にどうしろとって聞いているんですよ!!」
「ただの演出やン。特に意味ないけど、その方が盛り上がるやろ?」
「あんた、どこの宴会部長ですか?」
が、どうやらまったく効果はないようだ。鬼左近の異名も形無しだな(涙)
「まぁったく、もう。いいデスかぁ。島君」
「今度は、古○任○郎のモノマネですか、大谷殿。いい加減、時代考証無視するなよ」
「ハイッ! そこ、今更ですネッ!! それを云ってはぁ、このお話、身も蓋もありませ〜ん。あなたぁ、管理人にケンカ売っているのですかぁ?」
確かに…………
不承不承ではあるが、俺は無言で首を縦に振る。それに満足をしたのか、古畑調子で大谷殿は大仰に頷くのであった。
2006/12/04